あぁ、桜橋 第1夜書き起こし(ちょっとウソ)

1夜目分はネタバレはとりあえずしてないんで御安心してください。
台詞は手を加えていません。暮葉のモノローグだけ、楓の視点で作ってみました。
気になった人は、音源はどこかで入手シル!
佃暮葉(ツクダクレハ)=石川梨華、月島楓(ツキシマカエデ)=紺野あさ美
名前の漢字はテキトウに充てました。





くれは「アホか!いてもうたろか、ボケェ!」

ここは、隅田川にかかる桜橋の上

傾きかけた太陽が、隅田川の水面に反射している。

私は、キラキラ光る水面を眺めながら歩いていたら大きな声が聞こえた。

空の上から見るとバツ印になっているというこの橋、

そのバツ印の真ん中の広場にその人が居た。

くれは「アホか〜!いてもうたろか〜水上バスのボケ〜〜!」

いかにも東京の人が使うような下手な関西弁で

周りの人がジロジロ見ているのにもかかわらず、

大泣きしながら、その人は大きな声で叫んでいました。

くれは「アホか、ボケ。ウゥッ。」

私は、人目をはばからずに大泣き出来るその人をしばらく眺めていました。

傍から見たら、その光景はひどく滑稽でした。


くれは「ウッッッ...」

かえで「ははっ、あはっはぁっはぁっ。」

くれは「はぁ?」

かえで「あはははっはっ」

くれは「あの〜?」

かえで「あっ、はい?」

くれは「失礼なんじゃない?ちょっと。」

かえで「えぇ?」

くれは「そりゃ、桜橋のバツの上で泣いてる女はバカっぽいかもしれないけどぉ、笑うなんてあんたねぇ..」

かえで「まあ、落ち着いてぇ〜。」

くれは「なにそれ?」

かえで「人生いろいろ有りますね。」

くれは「なにそれ。」

かえで「がんばれ。」

くれは「なにそれ(怒)、さっきからあんた、あたしをバカにしてんでしょ。なんかムカつく。」

かえで「ぇ、いや、そんなつもりじゃないんですけど。」

くれは「マジで?」

かえで「ぁはははっ..」

くれは「なによ、なにがおかしいのよ!やっぱムカつく。」

かえで「だって、あなたのマスカラ。」

くれは「えっ?」

かえで「泣きすぎてパンダになってるから。」

くれは「あっ。」

かえで「はい、ハンカチ。」

最初は躊躇してたみたいでした。

ハンカチと私の顔を何度も見比べて3回目に私の顔を見て、ハンカチを取りました。

くれは「ありがとう、ハンカチ。」

かえで「どういたしまして。」

くれは「んっ、大丈夫?」

かえで「大丈夫?ってこっちの台詞じゃないですか。」

くれは「いや、じゃなくって、あたしのマスカラ。」

かえで「あっ、あっ大丈夫。イイ感じ。」

くれは「よかった、フフッ。」

かえで「ははっ」

くれは「あっ、また笑った。」

かえで「ん〜だって、さっきまで泣いてたのに、今更そんなパンダを気にしたって。」

くれは「女の子ですから。あんただって分るでしょ?」

かえで「あんたって...。」

くれは「名前なんていうの?」

かえで「楓、月島楓」

くれは「カッコイ〜、似合わねぇ〜。」

かえで「名前、なんていうんですか?」

くれは「暮葉。佃暮葉。」

かえで「カッコイ〜、似合ってるっ。」

くれは「しょうがないでしょ、親が勝手に決めたんだから。」

かえで「普通、名前ってそういうモンですよ。」

くれは「そんな冷静なツッコミいらないわよ。っていうか、年下にツッこまれるのキライ。」

かえで「しょうがないですよね、  キャラだから。」

くれは「ゃ、見ず知らずのあんたに言われたくないわよ。」

かえで「いや、見るからに。」

くれは「マジ?年下にもからかわれそうな、そんな空気感?」

かえで「空気ですね〜。」

くれは「やっぱそうか。そうだよな〜。」

かえで「あっ、またヘコんでる。」

くれは「ヘコむわよ〜。 私が何で泣いてたか教えてあげようか?」

かえで「いやっ、御自由に。」

くれは「ゃ、聞いてよ!」

かえで「聞きます。」

くれは「あたしね、高校でいま、バスケ部なのね。でっ、3年だからキャプテンで、」

かえで「見えませんね〜。」

くれは「でしょ〜、それが悩みなのよ。はっきり言うと、なめられてるの、後輩に。

     私の言う事、全然聞いてくれないの。」

かえで「ふぅ〜ん。」

くれは「そりゃ、私はバスケもそんなに上手くないし、リーダータイプじゃないし、

     3年生が2人しか居ないから、あみだで仕方なくキャプテンにされちゃったんだけど、」

かえで「はあ。」

くれは「後輩を真剣に怒っても、誰も真面目に聞いてくれないし。って言うか、笑われるだけで。」

かえで「はあ。」

くれは「っていうか、あんたも聞いてないでしょ、モォ〜〜ッ!」

かえで「きゃはははっ」

くれは「なによ、何がおかしいのよ!」

かえで「だって、 声が、 声が変で。」

くれは「いや、あんたの声だってね〜。」

かえで「私の声?」

くれは「あんたの声だって、あんたの声だって、 むっ、虫みたい。」

かえで「キャハッハッハッ。」

くれは「笑うな!」

私はこの時、まだ知る由もありませんでした。

これが私、月島楓の人生をほんの少し変える出会いになると云う事を。