佐紀と雅が恋人だったら? 4話

  • インターミッション2 

流しおーどんも終わり、バーベキューの周りにようやくメンバーが揃った。
「このお肉は私の。」とか醜い争いの声も聞こえる。

雅の真意が気になって仕方がない佐紀。
ちらちらと雅のほうをうかがっているが、
雅が佐紀の方を向くと視線を逸らしてしまう。
雅の様子はいつもと変わらない感じだった。
確かにあの時は寝ていたと思っていたのだろうから何も変わりはないとは分かっているのだけれど、それでも気になってしょうがなかった。
佐紀ちゃんどうかした?」
舞波が尋ねると慌てるように
「えっ 何?」
「さっきっからミヤの方ばっかり見てるから。なんかあった?」
「ううん、何にもないよ。」
「そう?あんまり食べてないみたいだし。」
「さっきうどん食べ過ぎちゃったから。」
「ならいいんだけど。」
意外に鋭い舞波の指摘。 





バーベキューも十分堪能し、片付けも終った頃、マネージャーから花火の差し入れがあった。
旅館ということであまり派手な物は出来なかったが、火花が3mくらい上がる花火が幾つかあった。誰が火をつけるかで揉めたが、結局はジャンケンで負けた桃子と梨沙子舞波がつけた。桃子と梨沙子は導火線に火がついただけで大騒ぎして逃げ出すが、舞波はいたって冷静だった。
手持ち花火で宙にハートや丸などの絵を描いたり、振り回したりやりたい放題。
最後は線香花火を1人一本ずつ持って輪になって、
誰が一番長く保つかの競争。
「せーの。」の号令で一斉に火をつける。
第一段階 みんなでキャーキャー言っていた。
第二段階 みんなでワイワイ言っている。
第三段階 みんな黙って散る火花を見ていた。
第四段階 身動きもせず誰のが残るのか花火の先端を見つめていた。
けっきょく誰が一番最後まで残っていたのかは分からなかった。


静寂


辺りは闇に包まれた。

「終っちゃったね。」 誰かが言った。
「またやりたいね。」誰かが言った。

空には満点の星、茉麻が芝生に寝転がって空を見上げた。
「星が綺麗。」
その声に他のメンバーも芝生に寝転んだ。
「ホントだね。」
「でもチクチクする。」 誰かが笑った。
「なんか楽しいね。」 誰かが言った。


「あんまり学校の友達と遊べないけど、みんなといると楽しい。
 最初はレッスンとか大変だったし、
 振りを覚えるのが苦手で先生に何度も注意されたけど
 今はBerryz工房で良かったって思うの。 


        みんなに会えて              よかった。」

舞波がしみじみと言った。
みんながうなずいていた。
「これって運命じゃない?」 千奈美が大発見でもしたように言った。
「運命?」 隣の友理奈がきいた。
がばっと起き上がって千奈美が手振りを交えて熱く語りだした。
「だって、住んでる所とか全然違うんだよ、
 普通だったら 絶対出会ってもいないんだよ?
 みんなで歌を歌ってコンサートやって、
 バーベキューしたり花火したり一緒に泣いたり笑ったり
 そうだよ、これは運命なんだよ!」
その様はまるで舞台女優のようだった。
「運命... そうだね、運命だよね。 
 きっと 私達 出会うために生まれたんだよね。」
桃子が言った。


一条の光の筋が南の空に走った。








昨晩は、はしゃぎすぎてなかなか寝付けず、少々寝不足なメンバー。
しかしリハの終る頃には寝ぼけた頭もすっかりシャンとしていた。
ライブ開始5分前、恒例の気合入れ。
Berryz工房〜」 
「「「「「「「「行くべ〜〜〜〜!!!」」」」」」」」 
いつも以上に大声を出すメンバー。
かつてないほどのテンションが舞台袖には満ちていた。


場内の照明が落ち、開演を知らせる曲が流れた。
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後に、このツアーが一番印象に残ってると各メンバーが語るが、
それはまた別のお話し。