私が思う、こんな女(ひと)

  • まえがき

ファンゆえの贔屓目も有るとは思うが、裕子さんの歌をこんな風に私は感じているということをズラズラと書いてみた。そんな訳でとても長い。でも読み易くする努力はした。(一応)
素人が感じていることなので、違っていると思っていても(生)暖かく見てくれると助るよ。気になる事はコメント欄へ。煽りとかはスルーするけどね。

  • はじめに

中澤裕子の歌がホントに好きだ、いまさら言うまでもなく。私が中澤裕子の大ファンだと言うことをご存じない方もいると思うので、この際、声を大にしてゆいたい。
アルバム『第二章〜強がり〜』の時にも色々書いたんだけれど、
今回はVoを中心に、私が思っている事を色々書いてみた。

  • 人の歌

なんていうかね〜、ビミョウなところをくすぐる感じが非常に心地良い。出来上がっている歌(他の人の歌)にもぴったりフィットさせることもできる。詳しくはF・Sシリーズを聞いて欲しいものだ。
木綿のハンカチーフは2と5に収録されているのだけれど、
両方とも同一のものではないので、聞き比べるのもいいだろう。
アルバム全体としての私的感想は2の方が上だが、とりあえずレンタルして来るといい。個人的に“声”のみを楽しむには、この曲が一番ではないかと思う。
もう一曲お勧めするのは、3に収録されている『帰れない二人』
『帰れない二人』はDVD『FOLK SONGS 3 LIVE』に収録されているので、そちらの方でご確認願いたい。
しかしこんな良い歌を静かに聴かないバカは死んでくれと言いたいけどな。(苦笑
木綿のハンカチーフはFOLK DAYSと紳士はミニがお好き!に収録)
この2曲のライヴは絶品だが、CDでも良い作品になっている。

  • 彼女の歌声

自分に作られた曲であっても、きっちり中澤裕子らしさを主張できている。
表情よりも、美妙な(変換間違いではありません。)歌い方で表していると思う。
確かに太く強い声ではないのだけれど、しなやかでとても柔らかく心地の良い声だと思う。
以前日記で、ミニモニ。2ndの4人のVoを宝石に例えた事が有る。
今回もそうしようとしたが、裕ちゃんの声は鉱物には例えられないんだよね、でも強いてあげるとすればパールかな。
加護さんの時もパールを例に挙げたけれど、あの時とは意味合いが違うし、似ている所も有る。今回そう例えたのは、生物が体内の中で育む暖かさという意味でだ。
でもそれより、シルク・カシミアなど、肌に密着する生地に例えるのが正解な気がする。まあ、生地の中では別格な物ではあるのだけれど、
着ている最中ってそういうのあまり意識しないじゃない。でも気がつけば良い物ってかんじ?より体への密着度が近いっていうかね。
とても耳障りが良くスッと入ってくる。
しかし馴染みが良い分、きちんと接しないと本当の良さはなかなか分かり難いかもしれないのが残念ちゃー残念だ。
あと矛盾するようだが、底知れない透明感を湛えた泉。
凛とした清やらかさが時に冷たい印象を与える時がある。
主に“中澤ゆうこ〜裕子”初期にはこういう感じが見られた。

  • 本当の良さはとは何なのだろうか?

前々から言っている抜群な力の抜き加減のテクニック。
『ふるさと』『元気のない日の子守唄』『上海の風』(コレは近年の生歌に限る)を上げたい。
特に『第二章〜強がり〜』に収録されている『ふるさと』は圧巻だ。
一番最初のオリジナルは、目一杯気を張っているけれど、限界まで来た部分の脆さみたいな感じがしていたけど、あくまでも母親の前ではない情景。言ってみれば独白。
裕ちゃんの『ふるさと』は母親の背中に、ちょこんとおでこを付けて今にも泣き出すんじゃないかとさえ思える。精一杯気を張って頑張っていたけど、母親の前では弱いところを隠さ(せ)ない、子供ゆえの弱さを表現していると思う。常に母親がすぐ傍にいる情景が浮かぶ。
この曲はいろんなメンバーが歌っているから聴き比べてみるといいだろう。そうすれば私が以前に書いた『一番やさしい歌』の意味が分かってもらえると思う。
余談だが『FOLK SONGS』にも裕ちゃんが歌っている『ふるさと』が収録されているが、それともまた趣がかなり違う。比較してみるのも面白いだろう。

かといって、ただ力を抜けばいいというものではない、
例に『東京美人』をあげたいと思う。
この曲はアップテンポだが、歌詞的には失恋後の歌。
直後と言うわけではなく、若干の未練はあるが、納得をして立ち直っていっている女性の歌なのだけれど、女の子全てに贈る、一種の応援歌でも有るのだ。
応援歌とは言いつつも、目一杯励ますわけではなく、
ポンッと軽く背中を押して、初めの一歩のきっかけを作ってくれる、
さり気ないんだけれど、彼女が言うから大丈夫っていう感じ。
「私は頑張ってるよ。っで、あなたはどうするの?」と問いかけているようにも感じる。
そんな絶妙な力加減が、押し付けがましさを感じさせない応援歌になっているのだろう。

ここまでを見ると雰囲気モノだけにとられそうだが、
『DO MY BEST』では、きっちりバックトラックに負けないパワフルな歌い方もできている。
バックトラックとVoのバランス具合は、是非CDなどの音質の良いもので確認して欲しい。
去年の夏のハロコンで圧巻だったこの曲のアクト。
娘。や松浦の代表曲ほどアッパーでもキャッチーな曲でもないのに、代々木第一体育館全体を巻き込み、見せ付けたあのパワー。この曲の為だけに行っても惜しくはなかった瞬間だった。
F・Sシリーズでアップテンポにアレンジされた『初恋』(3)『学生時代』(5)等ではイマイチ思い切りが悪いのだけれど、やっとココまで来たか!とちょっと感慨深かったりもした。
(『初恋』に関してはアレンジが中途半端過ぎるのだけれど。)
しかし、アルバムでの『心機一転』ではハジけきれていないのが残念だ。個人的にはもっとできるだろうと思うので。
案外、オリジナルでは強い感じで歌う曲は少なく『悔し涙 ぽろり』がコレ以前では唯一ではなかろうか?(と言ってもBメロ終わりからサビの所だけだが。)
この『悔し涙 ぽろり』はCDとライヴではまるっきりの別物なので
CDのみでの中澤裕子の判断は控えて欲しいのは正直なところなのだが、ライヴでは個人的にヲタ声がウザイので一長一短だ。
こうやって、曲によって力加減を適正にコントロールして、
曲にベストマッチした雰囲気を構築できるテクニックが抜群に上手いと思う。

次に『長良川の晴れ』や『GET ALONG WITH YOU』の大サビでの伸びやかな高音は鳥肌モノ。
歌番組では残念に思うときはまま有るのだが、ライヴともなると別格な歌を聴かせてくれる。
興味が有る人はスタジオライヴの動画などではなく、ライヴDVDを見ることをお勧めする。再販されるかは分からないが、クリスマスツアーのDVDでの彼女は極上だ。
時々、TV番組の企画で、デビュー当時などの曲を歌わせることがあるが、年を経るとなかなか高い音って取り辛くなるのは一般的な話。矢口さんは『Memory 青春の光』はあの時の音は出ないって言っていたし。
裕ちゃんはますます磨きがかかっているように感じる。
きっとデビュー当時より、今現在の方が綺麗に出ていると思う。
この辺は実際に歌を聴いてもらえば細かいことは抜きで感じてもらえると思う。
実は、意外に侮れないのがコーラスワーク。
F・Sシリーズで堪能できるので是非ともコーラスに集中して聴いてもらいたい。何曲かメインもコーラスも担当されているのだけれど、山下達郎さんのように多重レコーディングでの物も聴きたくなる。

結論
私が感じる最大の魅力は中・高域の伸びやかで透明感のある声と、歌の世界にマッチする力加減。
線の細い感じは否めないが、彼女が歌っている曲からするとあまり関係ないのかもしれない。
パブリックイメージとしての“中澤姐さん”って感じの曲ってあんまり無いでしょ?
しかし、『DO MY BEST』のような楽曲が来たら、
いったいどんなVoを聴かせてくれるのか期待が膨らむ。
特にライヴアクトでは、どんなだろう?と想像するだけで楽しみでしょうがない。


ココからは少しVoとはちょっと外れたことを書きます。そして散漫。

  • 彼女の事情

以前に書いた『第二章〜強がり〜』についての部分と重複する所もあるかもしれない。
曲の雰囲気を構築する上で、彼女のこれまでの経験がモノをいっているのではないだろうか?
彼女の自伝を読んだけれど、どこか屈折している印象を受けた。
彼女の経験が人生の機微となり、さまざまな歌詞の中に自分を投影して、世界観を構築していっているのではなかろうか?と推測する。
何もなくただまっすぐ育ってきた人より、いろんな事を経験している人のほうが、より人生を深く生きているように感じる。
私がそういった彼女の事を知っているが故に、より感情移入しているだろうことを否定はしない。
コレは共感ではなく、物語の主人公を見ている感覚に近い。
たびたび話題に上げる『長良川の晴れ』彼女が歌う時、どんな心境で歌っているのだろう?と少なからず思う。
彼女の詳しいバックボーンをここでは記す事はしない。
興味がある方はご自身でお調べください。
面倒と言うことではなくプライベートな事なので、私がわざわざ書くことではないと思うから。
(『ずっと後ろから見てきた』にも少し出ているので、興味のある方はそちらでどうぞ。)

  • 変化

私が中澤裕子の歌が劇的に変わったと思ったのはミュージカル『フットルース』以降。
中澤裕子ファンで同じような意見の人は結構いると思う。
ASAYANのパーソナルレボリューションで、ミュージカル前に自主トレーニングしている様を見ていたからかもしれないけれど。
フットルースは実際に私も見に行った。
舞台畑の人たちに囲まれて歌っている彼女を見たけど、正直、声量と言うかパンチは無いなとは思った。迫力という一点でだけで見ると見劣りはしたが、相対的なレベルは確実に向上しているようには感じた。
その後行われたソロライヴでは心地よい歌を聴くことが出来た。
最初は、「えっ?こんなに上手かったっけ?」っと本人が聞いたら、きっと不機嫌になるであろう感想だった。(笑
結局、同ツアーに3回、追加で1回の計4回行ったのだが、
いずれも満足いく歌を聴かせてもらえた。
もう、まぐれとかそういう域ではなく、確実に力をつけていっていたのを感じた。
まあ会場やその日の昼・夜によって、若干のムラがあったような記述を記憶しているが、おおむね好評な感想ばかりだった。
中澤裕子ファンの記述だから多少は甘くなることもあるだろうけど。)
私が見に行った際のライヴの感想を持ってきたいのだが、長いので今回は割愛する。

  • 例外

ただ一曲の例外、『恋の記憶』についても少し触れたいと思う。
ご存知のとおり、裕ちゃんから娘。に向けた曲で、自身で作詞にも携わった曲。私は現在、この曲のスタンスをどう受けてめればいいのか分からない。ライヴで歌って欲しいような、一生封印して欲しいような、そんな感じ。
あの時と云う時代性ありきなのは感じるんだけれど、これほど慈愛に満ちた曲も少ないかなと。
(あくまでモーニングと言う括りと物語性故なのだけれど。)
人前で歌ったのは娘。ラストと、NHKトップランナーだけじゃなかろうか?
あの頃のメンバーはもうじき吉澤一人になってしまう。
彼女が愛し「これからも愛し続けてください。」と、
大阪城ホールの上で私達に約束した“モーニング娘。”は、もはや無いと言ってもいいだろう。
今の私はあの頃と同じようにモーニング娘。を愛することはできないし、もういいだろうとも思っている。
死んだとは言わない、でも違うものだと思う。だから、あの頃とは違うスタンスでは応援できる。
彼女との約束は果たしたと自分の中では感じている。
そう思うと、この曲はどこに向かっていくのだろうか?っと云う一抹の寂しさがある。過去を美化するのは今のメンバーに失礼だけれど、
この曲は今のメンバーへ向けてのメッセージではない。
そう考えると、とても宙ぶらりんな気がする。
これから何年か後、モーニング娘。が解散することになり、
歴代メンバーが同じステージにそろった時にこの曲を一人一人の顔を見ながら歌って欲しいと思う。あの時のあのメンバーへ向けた歌なのだから。
このパートの書き出しと矛盾しているけれど、書いているうちにそう思った。
(↑まあ、こんな事はよくあることだ。)

  • 終わりに

ある物語の一コマ、
「確かに彼のピアノは君の弾くピアノほど譜面に正確ではない   
           ただ...   譜面に誠実なのだ。」 
と云う台詞があった。この台詞の詳しい背景は置いておくとして、
中澤裕子はCDでのそれは、おそらく譜面に正確なのだろう。
しかし、ライヴでの彼女は少し違う。
ライヴでの彼女は、歌詞の女性と自分に対して誠実なのだと思う。
その場でしかやらない(できない)、自分なりの表現ができるのではないか?と推測する。
歌の女性に自己を投影することで、細やかな表現をし、
多少のピッチのズレも歌の余韻としてしまうテクニック。
もちろん聴きに来てくれているファンに対しても誠実なのだ。
聴きに来てくれたファンを心底楽しませようとする精神。
コレは歌だけではなく、ライヴ全体の雰囲気作り、MCなど。
この辺も私の心を掴んで離さない部分なのだ。

それは彼女だけではなく、我々ファンも彼女に対して誠実なのだ。(と思いたい。)
だからライヴがいつも素晴らしいのだ。
それゆえに、ファンは聴く曲・ノる曲のメリハリをしっかりつけて欲しいと思う。
他のハロー系の面子に比べて数少ないからこそ、1回1回を大事にしたい。
直接、彼女の歌を聴きに行く事こそが、
最上級の彼女に対する返答であり賛辞なのだと私は考える。
そんな彼女の歌に対して、私は常に真摯でありたいと心掛けている。
自分のスタンスを押し付けたくは無いのだが、
もう少し彼女の、歌を歌う“声"を聴いて欲しいと願う。

  • あとがき

最近読み直した日本語練習帳に倣って、一回書いた文章を一ヶ月ほど寝かせたりしてみた。
その間曲を聴いたりDVDを見たりして、新たに感じたこと、思い違いをしていたことを幾つか修正加筆。読む人にわかりやすく、読みやすいようにしたつもり。
最初は自分の中の、自分だけの為に書いていたけれど、
どこをどう間違えたかこんな形になってしまった。
中澤裕子の歌は一部の人の嗜好品でも良いような気がしているのは正直なところ。
世間一般に広まれば頻繁にスタジオライヴやCDのリリースは有るかもしれないけれど、
ライヴのチケットが取れなかったりしたらムカつくしさ。(笑
今回こんなことを書いたのは自分の中で言葉にしてみたかったから。相当、中澤裕子熱が上がりまくっていて、何かしたくなったのもある。
何かと言ってもこうやって自分の気持ちとかを書くしかできないんだけどさ。直接彼女に伝えるのは照れくさいし、一部でも共有できる人がいれば良いなとも思ったから。
裕ちゃんがここを見るとも思えないしね。(笑

  • 今回の資料

CD『第二章〜強がり〜』&F・Sシリーズ他
DVD『紳士はミニがお好き!』『私が思うこんなクリスマス』
   『FOLK DAYS』『FOLK SONGS 3 LIVE』
書籍 『ずっと後ろから見てきた』
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